Yammerを使い続けて思うこと:実務で使った方が社内SNSは素早く定着する?

企業向けFacebookとも言えるYammerを使い始めてもう1年半くらいになります。継続して使い続けてみると、あれこれ見えてきたことがあるので、今回はそれをまとめてみました。どこかで話す機会も当面なく、この類いの話はすぐに陳腐化するので、とりあえず全部書いてしまおう。

Yammerについて
Yammerは、Facebookに近いソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)を、企業内で利用できるインターネットサービスです。基本的に、利用するためには自分が所属する組織、グループのユニークなドメインが必要となり、初期利用時にはドメインを入力することで、ネットワークと呼ばれるドメインごとのSNSが出来上がります。

Yammerにはドメインに紐づいたネットワークの他に、コミュニティ(2012.628追記:現在の名称は「External Network)と呼ばれるドメインとは独立したネットワークを作成することができるのですが、コミュニティはどこかしらのネットワークに所属していないと作成できません。ただ、コミュニティメンバーから招待を受けることで、GmailやHotmailのような個人アカウントのみ保持している人でもYammerを利用することが可能です。

Yammerにできること
Yammerを使い始めた当初は、国内でTwitterが普及し始めた頃だったこともあって、社内で利用できるTwitterのようなイメージを持っていたのですが、どちらかと言うとTwitterよりFacebookに近いです。UIデザインもほとんどFacebookですしね。また、Yammerの機能を眺めていても、Twitterとは異なっているのがわかります。

  • 基本実名登録で、細かいプロフィールを記載できる
  • 投稿文字数の制限がない(Twitterは140文字)
  • ファイル添付が可能(画像、Office文書、動画等には専用のビューアーあり)
  • ネットワーク内にグループが作成可能(ネットワーク内への公開・非公開の設定も可能)
  • テキスト投稿以外に各種ツールが用意されている(投票、イベント、リンク、質問)
  • “Like” がある
  • Link(Webページ)のシェアができる
  • オンラインのメンバーを確認できる
  • 各種デバイス用のアプリを提供(iPhone, iPad, Android, Blackberry, PC)

ゲームやFacebookアプリ、そしてチャットを除いたほぼすべての機能が網羅されているといっても良いと思います。また、Yammerがコミュニケーションを取りやすくするために考慮したと思われる独自の仕様や機能もいくつかあります。

  • ドメイン外の人を招待することが可能なドメインとは異なるネットワーク(コミュニティ)を作成できる(2011.9.9追記:現在はExternal Networkと名称が変更されたようです
  • コメント(返信)を指定したコメントが可能(Facebookはできない
  • 投稿のブックマーク機能

コミュニティは、プロジェクトや勉強会など、企業を越えた活動で利用する際にその価値を発揮します。グループに似ていますが、グループが同一ドメインのメンバー追加しかできないのに対して、コミュニティは外部の人間を追加できるため、その用途が広がる訳です。

あれこれ書きましたが、Facebookと同種のコミュニケーションを企業内で利用するためのサービスだと捉えていただければよいかと思います。

チームの仕事の状況を共有するためにYammerを利用
社内SNSは、mixiやTwitterなど、実名/匿名とわない不特定多数のコミュニケーションを楽しむ文化を、企業内にも取り込もうとする動きから始まっていると思っています。そのため、業務を遂行するためのコミュニケーションのためのツールとしてよりも、企業内の非公式なコミュニケーションを促進し、通常の業務では生まれないようなアイデアやシナジーを生み出すことを目的としていることが多いような気がしています。

ただ、私たちがチームでYammerを利用することを決めたのは、別にそういった高尚な理由ではなく、チームでありながら独立した仕事をパラレルで実施することが多い中で、それぞれの仕事の状況をチームメンバーが把握できる手段と環境が欲しいがために利用しました。

ですので、別にツールは何でも良かったんです。仕事の状況をササッと記載することができ、気になることがあれば即座にコメントをしたり、そのままディスカッションしてしまったりする。不在時に電話がかかってくれば、メモの代わりに情報を伝達するために使う。

こういったことは、別にメールでもできないことはないのですが、メールにはチーム外からの情報が混ざってしまうことと、メールの管理は基本個人毎に行われることになるので、メンバー全員が常に同じ情報を見ることはできないことが問題です。ある人は既読メールを削除してしまうこともあるかもしれませんし、ある人はしっかり分類をして管理しているかもしれない。同じ情報を同じ配置で共有することはメールではできないんですね。

では、自分たちに何が必要だったかと言うと、下記程度のことだったと思います。

  • シンプルな操作でチーム全員にメッセージ、ファイル、リンク等を共有し、ディスカッションができる
  • 共通の画面で履歴を確認・検索ができる
  • スマートフォンやその他モバイルツールを利用して、いつでもその内容を確認できる
  • メールによる投稿、コメント、通知機能が備わっている

何でも良さそうって思う人も多いと思います。実際そうだと思います。メンバーがストレスなく利用できるものであれば何でも良かった。私がYammerを利用したのは、既に自分がYammerの利用にかなり慣れていたことと、メンバーがそれぞれ保持しているスマートフォンのためのアプリや利用手段が提供されているものが、他になかったからです。

Yammerをどう使ったか
では、具体的にYammerをどう使ったかですが、下記のような用途で利用しました。

  • 各々のタスクの進捗状況と課題の共有の対応手段のディスカッション
  • 各種アウトプット(資料、メール文面)のレビュー
  • 伝言メモの代わり(電車遅延、電話メモなど)
  • チーム外の会議、外部イベント/セミナーのリアルタイム共有
  • トラブル、緊急事態の即時共有と対応のためのディスカッション
  • 各種ニュース、気になるWebページ、その他各種情報の共有
  • 雑談

こう書いてみると、もはやチーム内のコミュニケーションの大半を網羅しているようなものなんですよね。別に席や勤務地が離れているわけでもありません。従来であれば、これらの大半は朝晩に行う朝礼や夕礼、定期的に開催する進捗会議で行っていたことですが、なかなかこれらのミーティングは機能しません。機能するのは、チームメンバーの全員が同じ仕事をしている場合のみで、それぞれが異なる仕事をしている場合、進捗会議ですら全員の仕事の状況を把握するには至らず、重要度の高い事項をピックアップして行います。

一方、Yammerを利用してこれらのシェアを行う場合、シェアするタイミングすべて都度です。その事項が発生した瞬間に全員に周知します。そのすべてに対してメンバーが反応するわけではありませんし、基本その義務づけも行いません。しかし、メンバーは「いつものメンバー」ですので、必要に応じたコミュニケーションは自然と生まれます。

定着のきっかけはメンバー共通のトラブル 
利用当初は、半分強制的に利用が開始したと言っても良かったと思います。情報共有の必要性は共通認識として持っていましたが、既存のメールや口頭といったコミュニケーション手段は当然残っていますから、Yammerを利用せずに他の手段を自然ととってしまうことも多々ありました。それは、別に既存の手段が良いからではなく、Yammerを利用することを忘れてしまうだけなんですね。ですので、最初の間は、「メールで送っても返信しないよ。Yammerに書いてね」みたいなことを言ってみたり、私から連絡もYammer以外ではしないようにすることで、少しずつYammerを利用する習慣が浸透していったような気がします。

そして、本格的にYammerがチームに定着したのは、メンバー共通のトラブルが発生し、その対応に関するディスカッションをYammer上で行ったことが大きかったと思います。投稿数は急速に伸び、1スレッドの投稿数も70〜100に上ります。利用スピードも加速するため、多少不慣れなYammerの利用方法などすべてクリアされてしまいます。

結果、Yammerをチームに導入してから3ヶ月程度で総投稿数は6000に迫ろうとしてます。営業日を単純に20日/月として換算すると、1日当たり100近くの投稿が発生している計算です。今では完全に定着したといって良いでしょう。

少人数のチームで実務で利用してしまった方が、定着スピードが早いのでは?
数ヶ月利用してきて改めて思いますが、Yammerのような社内SNSは、Twitterのようなマスで緩やかなコミュニケーションを目的にするよりも小規模のチームの実務で利用してしまった方が早いような気がしています。TwitterやFacebookの利用でもそうですが、様々な人々が見ている可能性のある場で発言をするのは初心者であれば勇気が必要ですし、慣れていても発言内容に気を使う必要があります。逆につかわずに継続していれば、どこかでトラブルに見舞われる可能性さえあります。

社内でもそれは同様で、全社員が見ている可能性のある場所で一個人が発言をするのは、それなりのプレッシャーがかかるものです。時間と慣れで克服もできるのでしょうが、それはそれで時間がかかります。

それに対して、チーム内のコミュニケーションはその敷居がありません。従来通りの間隔で、従来通りの言葉遣いで発言することができますし、実務で利用するわけですから、投稿するネタもとても豊富です。そして、活性化すればするほど、従来のメールとは異なるスピード感溢れるコミュニケーションから離れられなくなりますので、チームを越えたプロジェクトやグループでも利用したくなります(少なくとも私はそうです)。

そうすると、既にYammerに慣れた人がそれぞれのチームから参加し、新しいチームで利用したとしても、ある程度は最初から活性化した状態で利用が進むのではないかと思うわけです。その脇で、逆にひっそりと全社向けの場が提供されていれば、密にやり取りされているグループコミュニケーションに収まらない内容がこぼれ落ちてきて、ネタによっては一気に活性化する可能性もあります。

まあこれは、TwitterやFacebookの普及によって、人々がショートメッセージによるシンプルなコミュニケーションに慣れつつあることが前提になって起きていることだとは思います。上限50人のSNSであるPathAmeba Tappieや、グループ(ルーム)毎にプロフィールを分けてTwitterライクなミニSNSを作れるyouRoom等もグループに閉じたコミュニケーションの魅力や価値に焦点を合わせたものだと思っているのですが、これらの背景にはTwitterやFacebookの台頭があるわけですよね。TwitterやFacebookの実績を利用することなく「ショートメッセージによるコミュニケーションがすばらしいんだよ」と言っても、あまり受け入れられなそうです。

そして、既にその価値はキャズムを越えて、自然と多くの人が使うようになったわけですから、こういった社内SNS定着の最短距離も、ちょっと変わりつつあるのかなと、今身の回りで起きていることを見ていると、考えたりしてしまうわけです。

関連記事:Yammerを使い続けて思うこと②:チームで社内SNSを利用する価値 

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投稿者: 矢野 貴明

株式会社co-meeting Co-Founder/COO. Hypertext, Messaing, Wiki, Social & Private network, etc...

“Yammerを使い続けて思うこと:実務で使った方が社内SNSは素早く定着する?” への 7 件のフィードバック

    1. 確かに。メンバーが仕事をする場所が散ったり、利用者が増えてくると、チェックインが欲しくなってきます。「xxでセミナーに参加しています」「xxで打ち合わせしています」とか、チェックイン使いたい。

  1. 別にツールは何でも良かった・・・というのはすごく共感できます。

    私はPCの前にいない人が社内の2/3以上いる弊社で、Yammerを情報共有ツールとして活用する方法を模索してます。

    Yammerのサイトの作りこみは今かなり進んできてますよね。見た目だけでも毎週細かい所が変わってきてますので。技術的な面だけで捉えると、社内のガラケー所有率や、Airアプリでの閲覧率の高さを、そちらの改良が進んでくるとぐっと活用度が上がる気もするんですけど。

    こちらの記事を呼んでやっと自ドメイン以外の人の招待する方法ができることがわかりました。有料プランじゃないとできないと思い込んでいたので。

    失礼致しました。

    1. コメントありがとうございます。少しでもお役に立てて嬉しいです。

      私はBlackberryを利用していて、アプリは提供されているものの通知機能がついていないため、確認、投稿、返信はメールで行っています。メーリングリストに近いですね。ただ、添付ファイルや画像の参照はWebにアクセスしなければならないことと、メールはネットワークに登録されたアドレスにしか通知できないため、ガラケーだと敷居が高いですね。

      私たちがyammerを使えた今の状況も、たまたま全員がスマートフォンユーザーになったからできたことです。半年前では不可能でした。

      現在の動きを見ていると、また半年後には状況が変わっているかもしれませんね。気づいたら多くの人がスマートフォンに機種変更していたとか。ガラケーとスマートフォンの境界線がぼやけてきているのであり得るかもしれません。

  2. chatterとの違いって、仕組み上の問題よりも、社内運用上のサポート体制っていう認識なんですが、どのようにお考えでしょうか?御意見伺えると嬉しいです。

    1. 私がYammerを利用した目的の範囲内で考えると、YammerとChatterのどちらでも実現できたと思います。その中でYammerを選んだのは、自分がYammerに既に慣れていて、細かい操作性がYammerの方が優れていると感じたからです。私も含めて利用することが前提でしたので、Yammerに出来てChatterに出来ないことによるストレスが発生することは避けたかった。

      ただ、全社利用を目指す等、リテラシーにばらつきのある環境で利用促進を進めることが前提で、ゼロベースを利用サービスを選び直すとしたら、Chatterを選ぶ可能性もあります。その理由は日本語環境におけるサービスの完成度の高さです。既に日本でのビジネス展開が大きく成されているSalseforceだけのことはあり、検索や各種OSに対応したモバイルアプリまで、提供されている機能がしっかりと動作します。それに対してYammerの日本語環境での動作はまだちょっと不安定な点もあるため、エンドユーザーサポートの手間を考えるとためらうかもしれません。

      また、資金的な余裕があり、Salesforce CRMやそれに付随するサービスも含めたChatterの利用を見据えられるのであれば、Chatterを試したいと考えるかもしれません。先日のDreamforceでのマーク・ベニオフ氏の基調講演(紹介記事:http://japan.zdnet.com/cloud/analysis/35006746/)のステップ3にあるような、CRM/SFAやその他アプリの各種データとChatterの連動は魅力的です。運用に乗せるまでの敷居はより高いでしょうが、現状でも、タスク管理やガントチャート、管理表等を様々なツールを組み合わせて利用していたりするので、展開規模によっては返って容易かもしれないという期待はあります。

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